咀嚼の効用 (1)2012/02/06 02:29

言うまでもなく, 人間は食事をする事で命をつないでいる.

生命を繋ぐ食事の栄養を, 東洋医学では 「後天の精」 と呼んでいる事はかつて本ブログで紹介している.

然し, 「一口当り 30 回 (とか 50 回) 以上噛んで食べなさい」 と言われている様に, 食べ物から栄養分を体内に摂り入れるには, 良く噛む (咀嚼する) 事が欠かせない.

では, 咀嚼とはどのようなメカニズムを意味するものであろうか?

咀嚼とは, 食物を噛み砕き, 唾液と混ぜ合わせ嚥下 (呑込み) に適した塊にするプロセスを言う.

この様な咀嚼運動は, 極めて複雑な組合せによって成り立っているのである.

下顎を開閉したり, 唾液を分泌したり, 舌で食べ物と唾液を混ぜ合わせたり, と, 咀嚼に関る筋・骨・神経系は, 運動器官の中で最も多様で複雑である.

咀嚼の神経回路は, 呼吸, 歩行, 姿勢, 血液循環の調節などと同様, 脳幹プログラムにインプットされており, 意識する, しないに関らず行える, 自動運動なのである.

また, 意図的に咀嚼運動を早めたり遅くしたりも出来る.

なお, 咀嚼を制禦する脳の部位は, 極めて広範囲に分布している.

創造性や適応, 学習, 記憶, 快・不快の情動, 本能, また体温調節などの恒常性, 運動, 姿勢などに関る脳の各部位が咀嚼のコントロールに関与している.

この様に, 咀嚼の働きは食べ物の消化・吸収を助ける事だけに止まらないのである.

人間が生きて行く上で極めて大切な咀嚼運動であるが, 近年 「1 回の食事の咀嚼回数は, 戦前に較べて半分以下」, 子供を対象にした日本学校保健会の調査結果によると, 「1 口当りの咀嚼回数が 10 回以下が略 1/3 で, 咀嚼回数が極端に少ない "流し込み" 状態も全体の 10% を占めていた」 と言う.

最近、鰓のはった顏付きの人間はめっきり少なくなっているし, こどもたちの顎が小さくなっている, と言われる所以はこの辺りにある様に思われる.

現代人は硬い食べ物を食べなくなってきているのである.

Have a nice day!
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はり・きゅう・マッサージ トミイ
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