かの食魔亭, 小泉 武夫先生大いに語る (1)2012/02/11 03:32

以前, 本ブログに何度かご登場戴いている, 醗酵学者にして, 東京農業大学名誉教授である小泉 武夫先生は, 福島県で代々酒造業を営む家に生まれ育った経緯から, 醸造学, 醗酵学, 応用微生物学を専門としている.

「食魔亭, 食の冒険家」 と自称し, 日経新聞に連載中のコラム 「食あれば楽あり」 は 18 年の長きに及んでいる人気エッセーである.

私の食生活に多大な影響を与えた先達が二人いる.

一人は丸元 淑生で, もう一人がこの小泉先生である. (丸元 淑生については, 既に本ブログで紹介した.)

その小泉先生が最近次の様な, 蘊蓄を傾けた楽しいお話をしているので, 参考までにご紹介したい.

読者の健康の維持・向上の一助になれば幸甚である. 以下, 抄録.

1) 日本の食生活と発酵技術

日本人は, 既に奈良時代から麹をつくり, 酒や味噌, 醤油をつくっていました.

平安時代末期には驚くことに, 世界に先駆けて 「種麹 (タネコウジ)」, いわゆる, 微生物を売る商売が出てきた.

顕微鏡もない時代にですよ. 凄い知恵ですね.

種麹屋は連綿と続き, 現在は全国に 13 社. 全国の日本酒, 味噌, 醤油の製造会社に種麹を販売しています.

最も古いのが約 600 年前に京都で創業した 「糀屋三左衛門 (コウジヤ サンザエモン)」 です.

麹はそんなに古くから日本人の暮しに関っていたんですね.

奈良時代の 『播磨国風土記』 には, 「大神の御粮 (ミカレヒ)、沾れてカビ生えき. 即ち酒を醸さしめて, 庭酒に献り宴しき」 とあります.

意味は 「神様に捧げた強飯が, 蒸れて, 暫くするとカビが生えた. それで酒を醸して新酒として献上した」 というものです,

この時, 強飯にカビが生えたのを 「黴立ち (カビタチ)」 と言った.

カビタチがその後, カムタチ, カウジ, そしてコウジに変化したのです.

麹の語原は 「黴立ち」 なんです.

とにかく日本人は, 蒸した米にカビを生やせば酒ができる事をこの時点で知っていた.

更に, 平安時代の末期に, 米にカビを生やし, それを絹の篩にかけて落ちてきた胞子だけを売る商売を始めた.

これが 「種麹」 です.

然も, 恐るべき事に, 種麹から不純物を取り除くために, 暫く灰を種麹の中に入れるという事までしていました.

灰はアルカリ性が大変強いから, 麹以外の雑菌を殺す事ができるのです. まあ, 凄い事をやっています.

レーウェンフックという科学者が世界で初めて顕微鏡で微生物を観察したのが 1674 年ですから, 日本人は凄いですねえ.

ともあれ, 種麹は日本の食文化の土台をつくりました.

味噌や醤油は奈良時代に中国に留学した僧が持ち帰ったものですが, 日本酒は麹をもとに奈良時代に日本人がつくったものです.

中国では酒づくりに麹菌を使いません. 日本人は, 麹から日本酒をつくり, 甘酒をつくり, 味醂をつくった.

やがて, 味噌や醤油も自分たちが好む味にしたのです.

Have a nice weekend!
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