健康小話

今回も, 認知行動療法研修開発ｾﾝﾀｰの大野 裕先生の 「こころの健康学」 から引用させて戴く. (以下引用)

「人間関係の太陽政策」 と言うのは, 私の知人が職場の人間関係を良くする為に意識していると言う言葉だ.

ｲｿｯﾌﾟ寓話 「北風と太陽」 の北風の様に, 厳しい事をｶﾞﾐｶﾞﾐと言っても相手は耳を貸そうとしない.

幾ら正論でも厳しい言葉や態度では相手はこころを開かない.

それ処か, 却って反発されて人間関係がｽﾑｰｽﾞに行かなくなる.

私たちは会話をする時に, 言葉の内容よりも口調や態度に鏡の様に反応してしまう傾向がある.

2 人で会話をする時, 1 人が険しい表情や口調で相手に迫ると, もう 1 人の表情も反射的に険しくなり, 厳しい口調で言い返す.

すると話の内容は二の次になり, お互い相手の態度や表情, 口調に対する不満な気持ちが沸き起こって来る.

話す内容が正論の場合には特に不満な気持ちが強くなる.

自分は正しい事を言っているのに, 相手が厳しい表情をして不満げな口調になるのが信じられない. もっと素直に受け止めて謝ればいいのにと考えると, 益々腹立たしさが増す.

北風にｺｰﾄの襟を立てる旅人の様に, お互いにこころをしっかり閉ざしてしまうのだ.

そうした時, 笑顔とまでは行かなくても穏やかな表情で話をすると, 相手の態度や口調も穏やかに変化する.

態度が変ると, その人のこころの状態まで変って来る.

耳を傾けたくないｲﾔな事でもきちんと受け止め, 考えてみようと言う気持ちになる.

口調や表情, 態度は意識すれば比較的簡単に変えられる.

それを利用しようと言うのが知人の言う人間関係の太陽政策だ. (引用終り)

正論であればあるほど, 誤りを指摘された相手は心を閉ざして頑なになってしまう, と言う経験は誰にもあるに違いない.

心の働きとは微妙なものである.

序でながら, 私が常々患者さんに言っている言葉がある.

「身体がほぐれれば, 心もほぐれる. 心がほぐれれば, 身体もほぐれる.」

Have a nice day!
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