(3879) 「血液脳関門」 と認知症2020/06/12 02:26

神戸大や名古屋大, 自然科学研究機構生理学研究所などの研究チームの発表によると, 脳に酸素や栄養を供給する細い血管から神経細胞に有害な物質が漏出しないよう, 血管の外側を覆うバリアーは, 慢性炎症で脳内の免疫細胞が過剰に活性化すると破れる事が, マウスの実験で判明したと言う.

このバリアーは 「血液脳関門」 と呼ばれ, 脳神経細胞の網状構造を支え, 活動を助ける細胞 「アストロサイト」 が血管の外側を覆っている.

アルツハイマー型認知症や歩行が困難になるパーキンソン病などでは, 近年, バリアー機能の低下が報告されており, 免疫細胞の過剰な活性化を抑えられれば, 新たな治療・予防法になる可能性があると言う.

研究チームが自己免疫疾患のマウスを対象に血液脳関門を詳細に観察した処, 全身の炎症が始まった段階では脳内の免疫細胞 「ミクログリア」 が血管の外側に集まり, アストロサイトによるバリアーを強化する事が判明した.

然し, 炎症が慢性化するとミクログリアが過剰に活性化し, アストロサイトの一部を取り込んで分解してしまい, バリアーが破れて血液中の有害な物質が漏出する事が判明したのである.

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