「行動変容」を起すには2010/03/09 04:40

鎌田實のブログ 「なげださない」 の 3/7 版に, 厚労省が最近見直したメタボ基準について書いている. 「メタボ健診の腹囲に根拠なし」 と.

以下, 鎌田先生の主張を下記に記す.

現在の腹囲基準, 男性 85 cm, 女性 90 cm 以上に科学的根拠はない.

まず, 腹囲の基準が必須条項で, その上に脂質異常や高血圧, 血糖値が高い事のうちの 2 つ以上を満たすと, メタボリックシンドロームと言う診断基準が作られた. この診断基準がおかしい.

腹囲が全く意味がないわけではないが, 腹囲だけを問題にしても, 解決するとは考え難い.

腹囲も, 脂質異常や高血圧, 血糖値が高いことと同じ程度のリスクと考えるべきで, 腹囲だけを第一の必須条項として, 腹囲が減った, 増えたと一喜一憂するような注目の仕方はおかしい.

健康づくりは, 本人にどう 「行動変容」 を起こすかということが大事で, 現在のメタボ健診では 「行動変容」 を起こり難くしている.

目標設定自体が疑問である。 女性の腹囲が 90 cm以上と緩く, 世界の基準からずれている.

同時に, メタボの定義と診断基準とを作った構成メンバーの医師 11 人全員に, 2002 年から 04 年の 3 年間に、メーカーから多額の研究補助費が贈られた. そう言う人たちが診断基準を決めているのである. 或る意思が働いていると勘繰られても仕方がない. 診断基準をどう設定するかによって, 薬の使われ方は圧倒的に変わる。

メタボ健診が行われるようになってから, 癌検診の受診率も一気に低下している. 健診率が重要視されて, 健診率が低いとペナルティーガ科せられると言うのは, 健診してしまえばそれで充分と言う発想につながる.

今年度の速報をみると受診率は, 目標 35% に対し, 実際は 30%. 健診指導率も, 目標 25% に対して, 達成率は 15% に過ぎない.

一人一人が健康のため生活の仕方を変えなければならないのに, 数字に拘り, その数字の目標すら達成していない.

全国的にみれば, 数字上, メタボ健診は敗退している. なおかつ, 「行動変容」 を起こさない健康指導になっている.

制度設計に, 科学的根拠があるかどうか, 信頼性は大事である.

メタボ健診に巨大なお金を投入する自治体の労力や, 企業の健康管理をしている労力は大変なものである. 糖尿病や高脂血症, 高血圧などの人たち一人一人に, 行動変容が起こるような, 本来の健診の在り方を問い直して貰いたい.

以上が鎌田先生の主張であるが, 「行動変容」 とは毎日継続されて初めてその結果に結び付いて来る.

例えば, 「ラジオ体操」 は, 普段は使う事のない筋肉まで動かす様に, 非常に良く考えられた全身運動で, 毎日続けると, 高齢者の転倒事故の予防や健康の維持向上に繋がると, 私はこれまでこの欄で言及して来ている.

千里の道も一歩から. 今日からでも 「ラジオ体操」 を始め, その直後に 「アイソメトリック運動 (既出)」 をやってみて欲しい.  併せて, ほんの 15 分程度の事である. それが自分自身のもっと大きな 「行動変容」 に繋がって行く筈である.
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はり・きゅう・マッサージ トミイ
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