ピルはオーガズムを損ねるのか?2011/02/17 03:02

ピル (経口避妊薬である女性ホルモン剤) を使用する女性は, 避妊法を用いない女性や, ピル以外の避妊法を用いる女性に較べて "性的障害リスク" が高いらしい, との報告がある. (医学誌「Journal of Sexual Medicine」)

独 テュービンゲン大学病院の Harald Seeger 博士らが行なった研究で, 1,086 人の女性を対象に, 性的機能および避妊の実施に関する問診を実施している.

対象者の殆どは, 回答前の 6 カ月間に同一パートナーと安定した関係を保っていた.

女性の性的機能を測定する標準指標を用いた結果, 33% に性的機能不全 (オーガズム, 欲求, 満足度, 性的興奮の欠如, 分泌液の不足など) のリスクがあることが判明したと言う.

同研究では, 大半 (87%) は過去 6 カ月に避妊法を実行しており, 97% 以上が 4 週間以内に性行為があった.

避妊法は, ピルが 69.5% と最も多く, 次いで, コンドーム (22.5%), 膣内避妊リング (7.3%), 避妊用インプラント, 子宮内法, 自己観察法などと続いている由.

2 種類以上の避妊法を併用していた女性 11 人を除外して, 避妊法の種類と性的機能を検討した結果, 性的機能不全のリスクが最も低かったのはピル以外の避妊法 (コンドームなど) で, 避妊法を用いていない女性がそれに続いた.

リスクが最も高かったのは経口薬以外のホルモン避妊法, 次いでピルであったと言う.

また, 性的欲求および興奮のパラメータに着目した場合, ピルを使用する群はいずれも最もリスクが高かった.
 
このような関連がみられる理由は不明だが, 1 つの可能性として, ピルは血中アンドロゲン濃度を低下させるため, 性的欲求を引き起こすのに必要なテストステロンの血中濃度の低下に繋がっていることが考えられるという.

その他の要因としては, 欲求を低下させるストレスの外、パートナーとの関係が安定しているとオーガズムのスコアは高くなるが, 短期的には性的欲求の低下がみられた, と研究グループは指摘している.

Seeger 博士によると, 「概してホルモン避妊法は忍容性に優れ, 非侵襲性の避妊法としては最適である. 研究で関連性が認められただけで, 両者が因果関係にあるということではない. 性的障害には他に多くの要因が影響を与えている」 と述べている.

詰り, 現時点においては, ピルの使用による性的機能不全リスクの可能性について頭の隅にでも置いておけばよい, と言う事であろう. 

然し, 上記の研究結果は, どの程度の信頼性があると見ればいいのか?

私見では, もっとデータを集める必要がある様な気がする. 要因が複雑過ぎ, もっと条件を絞り込む必要がある様に思うからである.

なお, ご承知のごとく, 通常, ピルには幾つかの副作用があり, 医師の指導のもとに服用することが望ましいとされている.

副作用としては, 体重の微増, 偏頭痛, イライラ, 性欲減退, 浮腫み, 嘔吐, 膣炎などが挙げられる.

このほか, 稀な例としては, 肝機能障害, 血栓症, 長期服用による発癌性などの可能性も指摘されている.

子宮筋腫, 糖尿病を悪化させる可能性があるとも言われている.

また, 喫煙を伴うと心臓・循環器系への副作用が高まるため, ピルを服用するなら禁煙することが望ましい.

それにしても, 子どもが授からずに苦労しているカップルも少なくないなか, 避妊をしてまで性の冒険者たらんとする女性もまた少なくない訳である.

世の中, 正に, 様々と言える.

Have a nice day!
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はり・きゅう・マッサージ トミイ
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