認知症薬 「アリセプト」, 心臓病予防に効果!?2011/02/25 02:33

昨日は, 貼り薬タイプの認知症藥についての話であったが, アルツハイマー型認知症の治療に 「アリセプト (一般名 : 塩酸ドネベジル)」 が有効である事は周知の事実である.

このほど高知大医学部と米バンダービルト大の研究チームが, 心臓病の予防にも有効である, との研究結果を纏めている.

高知大の佐藤隆幸教授 (循環制御学) によると, 塩酸ドネベジルは神経伝達を促す物質 "アセチルコリン" の働きを強め, アルツハイマー型認知症の進行を遅らせるが, 心臓の働きを抑制する可能性もあるため, 心機能の低下した患者への投薬を控えられていると言う.

然し, アセチルコリンが心筋細胞でも作られる事を発見, 心機能が低下したマウスに塩酸ドネベジルを投与すると生存率が改善したとの由.

塩酸ドネベジルがアセチルコリンの働きを強め, 心筋細胞などの再生を促した事が心臓病予防に役立った, と佐藤教授は考えている様だ.

かつて, 睡眠藥として開発された 「サリドマイド」 を妊娠初期の妊婦が服用して, 四肢の総て, 或いは一部が短い独特の奇形を持つ (所謂, 「アザラシ肢症」) 新生児が多数産まれて, 国内では製造・販売が中止されたと言う事件があった.

然し, その 「サリドマイド」 が, 血液癌である 「多発性骨髓腫」 の治療に効果がある, と言う事で, 一部の医師や患者などから製造再開の要請がなされ数年前に認められている.

「甲の薬は乙の毒」 とは良く言ったもので, これほど薬の本質を端的に言い表わした言葉はない.

同じ認知症でも, レビー小体型認知症の場合, 「アリセプト」 は,所謂, 暴言・暴力・妄想などの周辺症状を先鋭化してしまう患者さんもいる.

新薬の開発が長期間を要するのは, 一つの薬効の確認でさえ, 膨大な臨床を経なければならないからである.

それには巨額の研究費用を要し, 資金力の足りない企業では到底持ち堪えられないのだ.

まして, アリセプトの心臓病への応用については, 他の既存の心臓藥にはない特長があるのか否か? また, 優位差は如何か? などクリアしなければならない関門は多いと言わざるを得ない.

新薬開発は斯くの如くコストと時間が掛かるものなのである.

Have a nice day!
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