皮膚は第三の脳 (6)2011/11/27 02:47

さて, 話は戻るが, 傳田氏は 「ケラチノサイトそのものが, 免疫システムの最前線」 だと見做しているとの事.

また, 神経伝達物質のカテコールアミン, L-ドーパ, ドーパミン, ATCH, サブスタンス P, ベーターエンドルフィンなど, 何れも内分泌ホルモンであるが, 鍼灸理論の中でも言及され, 情動や全身状態に関与するものとして知られている処である.

が, これらの内分泌ホルモンを, 表皮のケラチノサイトが合成していることが, 最近確認されて来ているのである.

10 年前, 20 世紀末までは, 皮膚感覚を伝えているのは神経であると考えられていたが, 分子レベルのメカニズムまでは分っていなかったのである.

メルケル細胞やマイスナー小体, パチニ小体など, 末梢神経の圧力センサーは, 表皮や真皮にあり, 感覚受容器と呼ばれている.

皮膚に触れたり, 圧したり, 抓ったり, 切ったりする機械的刺激, 或いは, 温度を感じたり, 酸や唐辛子など, 化学物質に接触した時の刺激に対する受容器として, ポリモダール侵害受容線維がある.

Poly は 「多数の」, Modal は 「感覚形式」 という意味であるが, 無髄神経線維である末梢の C 線維が, その機能を持っていることは以前から知られていた.

然し, そのような沢山の刺激を感知する神経上の分子の仕組みがどうなっているのかは 10 年くらい前から漸く解明されるようになって来たのである.

最初のポリモーダル受容器が見付かったのが, 20 世紀末なのである.

1997 年カリフォルニア大学の研究グループが, 43℃ 以上の熱, PH 6.6 以下の酸, 唐辛子の辛味成分カプサイシンなど, 温度や化学的刺激によって, 痛みを感じるイオンチャンネル受容体を見出したのである.

これは, 刺激を電気信号に変換する蛋白質で, TRPV1 と名づけられ, C 線維上にこの蛋白質が分布するのが確認された。

詰り, この発見によって, 皮膚感覚の機序が, 初めて, 分子生物学のミクロのレベルで考察できるようになったという事を意味する.

言い換えると, 辛味と熱さは, ポリモーダル受容分子によって細胞膜を興奮させ膜電位に変化を起こし, 「痛い」 という感覚を中枢に伝えるのである.

Have a nice weekend!
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はり・きゅう・マッサージ トミイ
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