(1835) 続・卵子核移植, 英で合法化, 世界初 体外受精 「親 3 人」 に2015/03/05 02:37

では, どの様な課題があるのであろうか? 一昨日の日経は課題を次の如く点検している.

1) どんな技術か?

エネルギー工場と言われる細胞内小器官のミトコンドリアは DNA を持つ.

これが変異して呼吸器や心臓, 筋肉などの異常が起きるミトコンドリア病が母から子へ遺伝しない様, 母のミトコンドリア DNA の影響を取り除く.

健康な女性から卵子の提供を受け, 予め核を除去する. 代りにミトコンドリア病の母の核を入れ, 体外受精させる.

受精卵の提供を受け核を入れる方法もある.

核は, 両親の, ミトコンドリアは健康な女性の DNA を持つ様になる.

同様の技術は, 動物の品種改良などで使われ, 大きな問題はないとされる.

2) 病気は防げるのか?

母の核を提供卵子などに移す際, 異常なミトコンドリアの一部がくっついて来る恐れがある.

その後, 変異したミトコンドリアの DNA は, 細胞分裂時にそれぞれの細胞に不規則に伝わる.

その比率が成長や老化の過程で, 体のどこかの組織で高まり病気になるかもしれない.

一方, 筑波大学の中田 和人教授によると, ミトコンドリアは複製や融合を繰り返し DNA の一部を交換する性質も持つ.

母と別の女性の 2 人に由来する異常なミトコンドリア DNA を持つ子が生まれる可能性もあるが, 新たな病気を引き起こすかは不明だ.

3) 倫理的な課題は?

「異常が起きるリスクは子孫に受け継がれ続ける事を認識して欲しい」 と東京大学の神里 彩子特任准教授は呼び掛ける.

ただ, 自身の体の不調に加えて子に病気が伝わるのを恐れる母の心の負担は大きい.

中田教授は, ミトコンドリア DNA の変異が少ない卵子を選び, 体外受精する方法を提案する.

新技術を病気と無関係に, 自身の卵子の核を, より若い女性の提供卵子の核と置き換える 「若返り」 に使う研究もある.

こうした利用が際限なく広がる懸念も出ている.

以上であるが, この世の中の物事は須らく 「優先順位 (Priority)」 の問題ではあるが, 神を畏れぬ所業は熟慮に熟慮を重ね, 慎重を期すべきであろう.

本日のカット写真 : 下平 宏氏提供 (オオハクチョウ・シリーズ)

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