続 HSP (熱ショック蛋白質) (2)2011/10/18 01:53

では, 身体を温めて, 体内に熱ショック蛋白質が増えると, 人間の身体の中で何が起きているのか?

白血球の一種, T 細胞を, 先ずは 35℃ で培養し, 癌細胞と同じシャーレに入れてみると, 体当りするようにして癌細胞を攻撃, 12 時間で 14% をやっつけた.

次に 39℃ まで T 細胞を温めて実験すると, 12 時間でやっつけた癌細胞は 44% と 3 倍以上にアップしたのである.

温めて熱ショック蛋白質が増えると, 如何して細胞を強化できるのか?

それは HSP は 「蛋白質の修理屋」 だからなのだ.

細胞は水分を除くと, 殆どが蛋白質で, 蛋白質は圧力や活性酸素, そして熱でも傷ついてしまう性質を持っている.

温度が上がると T 細胞は代謝が上がり攻撃力が増すが, 一方では, 傷ついて本来の能力を発揮できなくなっていく.

高温で最大の能力を発揮できるように支えてくれているのが, 熱ショック蛋白質であり, 様々な理由で傷ついてしまう細胞の蛋白質を修理して, 人間の身体を守ってくれているのである.

それでは, どれくらい身体を温めれば熱ショック蛋白質は増えるのか?

個人差もあるが, 熱ショック蛋白質は, 大体 38℃ くらいから増加し始めると言われている.

然し, 残念ながら, 風呂で温まる程度のレベルでは免疫力が大きくアップする事はない.

恒温動物である人間は, 温めてもなかなか体温は上昇しないのである.

けれども, 汗による放熱の限界を超えると, 今度は体温が急上昇する.

これは, 人間がもともと持っている体温調整ができなくなっていること, 詰り, ホメオスタシス (恒常性維持機能) が働かなくなる事を意味している.

従って, 体温を無闇に上げ過ぎると, 次の様な危険が生じてい来る.

1. のぼせによるふらつき (転倒事故を起し易くなる)
2. 血栓ができやすくなる (42℃ 以上で長湯した場合など)
3. 熱中症

過ぎたるは及ばざるが如し, で, 温め過ぎにはくれぐれも注意が必要なのだ.

さて, 2010 年末に更新された治療ガイドラインに 「和温療法」 なるものが追加されたと言う.

主として, 慢性心不全などを対象にした療法である.

60℃ のサウナに入ること 15 分, その後, タオルなどで保温を 30 分行う.

体温が 1℃ 上昇するくらいに "和やかに" 温めることで血流をよくするのを目的とする療法である.

血流がよくなると血管の内壁から一酸化窒素が出てきて, 血管を拡張するように働く.

これを繰り返すことで硬くなってしまっていた血管が柔らかく若返るのだそうだ.

和温療法は心臓を完治させるのではなく, 全身の血行をよくすることで症状の緩和をはかる治療法なのだ.

番組では, HSP は運動によっても増やす事が出来ると結論付けている.

心疾患がなければ, 同じ血管若返り効果は運動で得られると言うのである.

鼻歌を歌えるくらいのウォーキングを 1 日 30 分, 週 3 日行えば充分だと言う. 3 週間で 15% 血管の弾力が改善するとの事.

熱ショック蛋白質は, 熱以外にも, 運動や精神的ストレスなど様々なストレスによっても増えるからである.

様々なストレスで傷ついてしまう細胞を守るために, 熱ショック蛋白質が増えるのである.

適度な有酸素運動を習慣化することが健康の基本である, と言う事が HSP の視点からも証明された事になる.

Have a nice day!
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はり・きゅう・マッサージ トミイ
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