「尊厳死」 或いは 「死ぬ権利」 (1)2012/03/21 03:58

日経朝刊に連載されている今月の 「私の履歴書」 は, 大和ハウス工業の樋口 武男会長が書いている.

先月は, 女優の佐久間 良子で, 若き日の鶴田 浩二との不倫を初め, 離婚した平 幹二郎との愛の顛末など, 彼女の半生を率直に語り, 私もだが, 多くの読者に感銘を与えた様だ.

が, 樋口会長の半生も, それに劣らず 「ビジネスは人間そのものなり」 を実感させてくれ, 毎朝, とても興味深く読ませて貰っている.

数日前の連載だったが, 実弟の想い出を書いておられた. 以下, 抜粋である.

3 歳年下の弟、進の事にも触れておきたい。

身長も肩幅も私より大きく、高校ではラグビー部に入っていた。

典型的なやんちゃ坊主だった。 通学時に阪神電車の車両連結部分で他校生と揉めた事がある。

2 人は途中の駅で電車を降りた。 相手はボクシング部員だった。 立ったままでは不利になると考え、タックルして担ぎ上げ、そのまま駅前の広場にある防火水槽に押し込んで大騒ぎになった。

相手が怪我をしたために母は学校に呼び出された。

同じ様な事が何回もあり、怒った父が勘当した。 調理師になり大阪・鶴橋で飲食店を開業して漸く勘当は解けた。

その後、東京・蒲田に移り、新たに飲食店を構えた。 大変な事もあったが、総て自力で乗り越えた。 「兄貴、困った事があったら何でも相談してくれ」 と言った。

その元気一杯の弟が ALS (筋萎縮性側索硬化症) という病気に罹った。

全身の筋肉が衰えていき、言葉も喋れなくなる難病だ。 1869 年にフランスで最初の患者が報告された。

新型万能細胞 (iPS 細胞) の応用も研究されているが、現在もまだ治療法が確立されていない。

米大リーグでベーブ・ルースとともにヤンキースの黄金期を支えた鉄人ルー・ゲーリッグが罹った事から米国では 「ルー・ゲーリッグ病」 とも呼ばれている。

自宅へ見舞いに行くと、首からゴム紐で腕を吊るし、たばこを吸っていた。 「まだ死にたくない。 もう一度元気になりたい」 と言った。

入退院を繰り返した。 蒲田の店で私が背中を押しながら階段を上っている途中で突然、弟の呼吸が止まった。

一緒にいた家族が救急車を呼んだ。 救急隊員が心臓マッサージをして一命を取り止めた。

そこから 1 年は地獄だった。

意識ははっきりしているのに体はどんどん動かなくなっていく。 最後のころは声帯が麻痺し、目で文字盤を追いながら 「早く死にたい」 と意思表示した。

本当に残酷な病気だ。

弟は 1991 年 4 月に 49 歳で亡くなった。 あの時、救急車に乗せたのが正しかったのか、私は今も悩んでいる。

以上で引用は終りであるが, ALS については, かつて本ブログでも触れた事があるが, 難病中の難病の一つである.

樋口会長の言葉は, 久々に 「延命」 や 「尊厳死」 或いは 「死ぬ権利」 と言う事について, 深く考えさせられた事であった.

Have a nice day!
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はり・きゅう・マッサージ トミイ
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