「尊厳死」 或いは 「死ぬ権利」 (3)2012/03/24 02:53

偶然とは言え, 物事は続くものだ.

尊厳死についてブログに書いたばかりだが, 23 日付日経朝刊に 「尊厳死法制化を考える議員連盟」 の動きが報道されていた.

以下, 引用である.

超党派の 「尊厳死法制化を考える議員連盟」 は 22 日, 終末期の患者が延命措置を望まない場合, 延命治療をしない医師の責任免除などを柱とする法案を初めてまとめた.

終末期かどうかは 2 人以上の医師が判断. 「延命措置の不開始」 の意思表示には書面が必要としている.

議連は各党内の議論を経た上で, 今国会で議員立法の提出を目指すが, 「尊厳死」 を巡っては賛否が割れており, 法案提出の行方は不透明だ.

法案は 22 日の議連総会で 「終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案 (仮称)」 として提示された.

「終末期」 について 「患者が傷病について行いうるすべての適切な治療を受けた場合であっても, 回復の可能性がなく, かつ, 死期が間近であると判定された状態」 と定義.

終末期医療の知識や経験のある 2 人以上の医師の判断が一致した場合を 「終末期状態」 の患者と規定した.

その上で, 延命措置を新たに始めない要件として, 患者が延命治療を希望しないことを書面で意思表示している場合, と明記.

すでに行われている延命措置の中断はできないとしている.

延命措置の対象は人工呼吸器だけでなく, 点滴などによる栄養や水分の補給などとした.

「延命措置の不開始」 の意思表示は 15 歳以上とし, 臓器移植法とは異なり, 家族の判断は含めなかった.

こうした患者本人の意思を尊重した場合, 医師については民事, 刑事, 行政上の何れの責任も問われない.

議連総会には各団体が出席. 日本尊厳死協会が 「希望通りの死を迎えられていない患者が多い. 法案は延命措置の中止は盛り込まれていないが, 患者の意思が尊重されている」 と賛成を表明.

然し, 障害者団体 「DPI (障害者インターナショナル) 日本会議」 は 「終末期の認識は個々人で異なり法律で決められない. 白紙撤回すべきだ」 と反撥したと言う.

記事にもある様に, 確かに, 終末期の認識は個々人で異なる.

けれども, DPI は, 何故 「白紙撤回すべきだ, などと反撥」 したのだろう?

「尊厳死」 の要諦は, あくまでも 「本人の意思」 が前提になっている訳であるから, 尊厳死を望まない人は, 延命治療を希望すればいいだけの話ではないのか?

生に対する考えは, 即ち, 死に対する考えであり, 生と死は表裏一体である.

言い換えれば, 如何に生きるか? は, 如何に死ぬか? と言う事を意味してもいる.

「生きる権利」 があるのと同様, 「死ぬ権利」 も厳として存在している筈だ.

本シリーズで紹介した, ALS を患い苦しんだ, 大和ハウス工業樋口会長の実弟の場合や, 英国の 81 歳のJoy さんの場合など, 如何考えるべきなのか?

関節炎, 冷え性, 糖尿病などを患っていると言う Joy さんは, 「ゆっくりと, 時間をかけて, 死に耐える事など望んではいない. 半分だけ死ぬ位なら, 丸ごと死にたい. 51 歳の時なら状況はまた違ったかもしれないけれど, 81 歳の今は助けられずに死んでいきたい」 と, 身体に刺青まで彫って 「死ぬ権利」 を主張しているのである.

話は変るが, 今, 消費税の増税について, 与党の民主党内で意見が割れている.

TPP についても然り.

然し, 物事は, 大きく, 「一般論」 で議論すべき事と, 「具体論」 で議論すべき事とがあると思うのである.

また, 反対意見を述べる者は, 必ず, 「(具体的, かつ, 現実的な) 対案」を用意すべきなのだ.

例えば, 増税しなかったら, 財源を如何捻出するのか?

TPP に反対するなら, では, (今まで, 小手先の対応ばかりで, ホッタラカシに近かった) 日本の農業を如何やって再生するのか?

理路整然と主張して欲しい. それでこそ, 民主政治であると思うのだが?

「尊厳死」 も然り.

例えば, 未だまだ前途有望な若年層の場合と, Joy さんの様に, 延命治療を望まず, 幾つもの病気を抱えた高齢者の場合と, 一緒くたに議論する事自体に, 無理がある様に思うのである.

Have a nice weekend!
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はり・きゅう・マッサージ トミイ
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