犠牲者は英雄!?2012/07/08 03:23

国会の東京電力福島原子力発電所事故調査委員会 (黒川 清委員長) が 5 日, 最終報告書をまとめ, 衆参両院議長に提出した.

事故は 「自然災害ではなく明らかに人災だ」 と明記, 東電と, 経済産業省原子力安全・保安院など規制当局の 「不作為」 による安全対策の先送りが深刻な事態を招いた, と断罪した.

報告書は, 事故発生後の首相官邸や東電の混乱ぶりを浮かび上がらせてもいる.

管首相は 「全員撤退」 と聞いて, 15 日早朝に東電本店に乗り込み 「このままでは日本が滅亡だ」 「撤退などあり得ない. 命懸けでやれ」 「逃げてみたって逃げ切れないぞ」 「60 歳になる幹部連中は現地に行って死んでもいいんだ. 俺も行く」 と激しい口調でまくし立てた, と報告書には記載されている.

菅サンは 「全面撤退を阻止した」 と自慢 (?) しているが, 報告書は 「菅首相が全面撤退を阻止したという事実は認められない」 と指摘, 現場を預かっていた吉田所長は, 聴取に 「現場は逃げていない」 と悔しさを滲ませた, とも.

いずれにせよ, 管首相の事故現場への過剰な介入が混乱を拡大し, 結果的に, 事故への対応が遅れた事は否定できない事実であろう.

然し, 危機回避の為, 事故現場で働いていた作業員に, 果してどの様な指示が発せられたのか? 真相は解明されていない.

危機 (の拡大) を回避するためには, 誰かが現場に踏み止まる必要があった事は疑いの余地が無い.

けれども, 現場に踏み止まれば (被爆) 犠牲者が出るであろう事もまた略間違いのない事である.

この様な, 少なからず, 生命を賭さねばならぬ危機に際して, 人間の命を如何考えたらよいのか?

太平洋戦争において, 若者たちを 「英雄」 と祀り上げては, 「特攻隊」 や 「人間魚雷」 と言った戦法が採られたのである. 

管サンはいかなる意図を以って 「60 歳になる幹部連中は現地に行って死んでもいいんだ!」 と叫んだのであろうか?

指揮官, 或いは, リーダーとは危機に臨んで如何あるべきなのか?

最後まで現場に残る者は, 如何なる基準で選ばれるべきものなのか?

所謂, 特攻隊を募るべきなのか? 募っても誰も応募しなかったら戦線離脱も止むなしとするのか?

恐らく, 正解はないのであろう.

以下は, 「ローマ人の物語」 の著者, 塩野 七生さんの言葉である.

"息子の高校の教科書に, リーダーに必要な資質として, 「知力」 「説得力」 「肉体的耐久力」 「持続する意志」 「自己制御」 と載っていましたが, まさにカエサルはこの 5 つの資質を備えていた人物でした.

私が一番好きなカエサルの言葉に 「多くの人は見たいと欲するものしか見ない」 というのがあります.

もう, 私はこの一言だけでもカエサルに惚れてしまいますね (笑).

リーダーと一兵卒では見るものが違うかと言ったら, 本当は同じです.

だけど一兵卒はその重要性に気付かない. いや, 気付きたくない訳ね. 例えば敵が来るなんて思いたくないから敵を見ないんです.

そこが, リーダーとリーダーでない人の間に存在する, 厳とした差ではないかと思います.

カエサルは見たくない現実も見る事が出来た人でした.

あの時代のローマに何が必要で, 何が不必要であるかを明快に見定めた人物だったと思います."

今回の報告書にも見られるが, 「見たくない現実を見ること」 を避けて通っては, 同じ過ちを今後も繰返すのではないのか? と危惧するのは私だけなのだろうか? 

太平洋戦争の 「敗戦」 を 「終戦」 などと曖昧にして, 「現実を見ようとしない」 悪い癖が, 未だに治っていない様に思うのである.

Have a nice weekend!
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