(3033) 慢性疾患で高まるリスク2018/05/27 02:53

以下は, 本欄で何度か紹介している中川 恵一東大付属病院放射線科准教授の 『がん社会を診る』 と題する, 日経の連載コラムからの引用である.

糖尿病は大きな発癌要因です.

わが国の調査でも, 膵臓癌・肝臓癌を約 2 倍, 大腸癌を 1.4 倍, 癌全体でも 1.2 倍に増加させる事が分っています.

糖尿病の人は 「癌予備軍」 と言えるのです.

然し, 糖尿病以外の慢性疾患でも癌が増える事が明らかになって来ました.

台湾での大規模な追跡調査では, 癌ではない 40 万人を対象に, 血圧, コレステロール値, 心拍数, 血糖値, 蛋白尿, 腎機能, 呼吸機能 (肺活量など), 尿酸値を測定した上で追跡調査を行いました.

平均 8.7 年の追跡期間中に癌を発症したのは 9273 人, 癌で死亡したのは 3779 人でした.

発癌のリスクは, 血圧や呼吸機能の異常とは有意な関連が見られませんでした.

それ以外の異常は癌の発症リスクを高める事が分りました.

特にコレステロールが低過ぎる人は高い人よりリスクが 44% も高まっていました.

8 種の異常総てが癌で死亡するリスクを高めていました.

やはりコレステロールが低い人たちは高い人より 64% もリスクが高くなっていましたが, 何故そうなるかのメカニズムの解明はこれからの課題です.

これまでの疫学調査によると, 好ましくない 5 つの生活習慣 (喫煙, 野菜・果物不足, 運動不足, 飲酒, 肥満) が, 癌になる原因の約 25%, 癌で死亡する原因の約 40% を占めるとされます.

一方, 台湾での研究から 8 種類の慢性疾患が, 癌になる原因の約 2 割, 癌死亡原因の約 4 割を齎す事が分りました.

慢性疾患が重なると最悪の生活習慣の人と同じ位のリスクとなる訳です.

私の 33 年の臨床経験からも, 高齢の癌患者の多くが慢性疾患を持っていると言えます.

逆に言えば, 癌だけを治療しても背景にある病気が悪化すれば元も子もない訳です.

実際, 癌治療を始めた後で, 別の病気の症状が強くなり, 後悔したケースは枚挙に暇がありません.

昨今は癌専門病院で治療を希望する患者が増えています.

然し総ての病気に対応出来る 「総合力」 のある大学病院などで癌治療を受けるメリットは大きいと思います.

Have a nice weekend!
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