(3060) 癌罹患率, 若年層も公表2018/06/23 02:44

国立がん研究センターは, 0 - 14 歳の小児と, 15 - 39 歳の思春期・若年成人を指す 「AYA 世代」 での癌の罹患状況を公表した.

最も患者数が多い癌は, 0 - 19 歳では白血病, 20 代は精巣癌や卵巣癌などの胚細胞腫瘍・性腺腫瘍, 30 代は女性乳癌だった.

AYA 世代の癌に関する詳しい調査は初めてと言う.

今回の調査では, 各都道府県で集計した 2009 - 11 年の 「地域がん登録」 の診断例データを使用しており, 一定の精度を満たした 27 府県分を分析している.

07 年には地域がん登録をもとに小児癌の罹患率のみを公表していたが, データの対象地域は 15 府県分だった.

今回はより多くの地域をカバーした上, AYA 世代までの癌の罹患率と種類別の内訳を初めて示したのである.

罹患率では小児が人口 10 万人当り 12.3 例, 15 - 19 歳では同 14.2 例, 20 代は同 31.1 例, 30 代は同 91.1 例だった.

この罹患率を日本全体の人口に当て嵌めて 1 年間に癌と診断される症例数を推計すると, 小児が約 2100 例, 15 - 19 歳が約 900 例, 20 代で約 4200 例, 30 代が約 1 万 6300 例に上る.

国立がん研究センターによると, 罹患率は 07 年の調査に比べ全体的に高くなった.

同年に癌治療の地域拠点となる 「がん診療連携拠点病院」 が全国で指定され, 「癌登録の精度が向上した事が大きい」 (同センター) と言う.

年代別に患った癌の種類をみると, 小児では白血病 (38%) が最多. 15 - 19 歳でも白血病 (24%) が一番多く, 精巣癌や卵巣癌など胚細胞腫瘍・性腺腫瘍 (17%) が続いている.

20 代では胚細胞腫瘍・性腺腫瘍 (16%) が首位で, 甲状腺癌 (12%) も目立った. 30 代は女性乳癌 (22%) が最多で, 2 位は子宮頸癌 (13%) となっている.

小児では血液関連の癌が多く, 年を取るにつれ, 体の表面や臓器を覆う上皮性の細胞の癌が目立つ傾向となった.

AYA 世代とは, 思春期 (Adolescent) と若年成人 (Young Adult) の頭文字を組み合わせた言葉.

学術的な明確な定義はなく, 国や研究機関によって 「15 - 29 歳」 「15 - 39 歳」 と幅がある.

就職や結婚など人生の岐路と癌治療の両立を迫られ, 悩みを抱えるケースも多い事から, 国として, 治療体制や支援策の充実が求められている.

本日のカット写真提供 : 下平 宏氏 (フクロウ)

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