日本最古の医学書 『医心方』 (1)2011/01/24 02:58

中国最古の医学書が 『黄帝内経』 であることは, 本欄の第 1 回目に紹介した.

では、我国で最古の医学書は? と言うと, それは平安時代の医家, 丹波康頼が著した 『医心方』 全 30 巻である, とされている.

丹波康頼は, 平安中期の典藥寮の名医で, 丹波国天田郡 (現在の福知山市) ないしは桑田群矢田 (現在の亀岡市) の生まれと言われる.

遠祖は後漢の霊帝五世の孫阿智王で, 応仁帝の乱を避け, 一族郎党を引き連れ渡来したと言われている.

医書に詳しい康頼の時に, 朝廷の医官となり, 姓丹波宿禰を賜る. 鍼博士, 医博士, 左衛門佐, 左兵衛医師, 丹波介, 従五位上と叙せられている.

天元 5 年 (982 年) に 『医心方』 全 30 巻を著し, 永観 2 年 (984 年) に円融上皇に献上された. 

『医心方』 は現存する日本最古の医学全書で "国宝" に指定されている. 

『医心方』 は, 隋の 『諸病源候論 (ショビョウゲンコウロン)』, 唐の 『千金要方 (センキンヨウホウ)』 『外台秘要方 (ゲダイヒヨウホウ)』 を軸に, 中国, 韓国の医書 248 部から主要な箇所を要約した文を編集したもので, 現代でも名著として世界に知られる医学全書なのである.

『医心方』 巻一では, 医の倫理, 脈の重要性を述べ, 巻二は鍼灸について述べられている.

巻二の文章は 『皇帝明堂経 (コウテイメイドウキョウ)』 『華陀扁鵲鍼灸法 (カダヘンジャクシンキュウホウ)』 を参考に康頼自身が書いたものと伝えられている.

経絡を重んぜず, 孔穴主治法では諸穴を, 身体の部位ごとに名称, 部位などが纏めて記されている.

また, 鍼灸の禁忌についても詳述されている.

『医心方』 は永らく宮中に伝わったが, 室町期に正親町天皇の時, 和気家のライバル半井家に下賜され, 久しく半井家門外不出の "禁闕 (キンケツ = 皇居) の秘本" とされた.

そのため, 江戸時代に丹波家の子孫, 多紀が幕府の力を借りて, 半井家から借り出し, 医学館で復刻するまで, その存在は広く知られる事がなかったのである.

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