健康小話

強い重力下で動物の運動習得能力が高まる事を, 中部大工学部の平田 豊教授 (生体情報工学) が実験で突き止めている.

教授が親しんだ人気漫画 「ﾄﾞﾗｺﾞﾝﾎﾞｰﾙ」 では, 主人公の孫悟空が 「精神と時の部屋」 と呼ばれる過重力の環境下で修業を積む場面が描かれており, その効果が実証出来たと言う.

実験では, 被験者が重力と遠心力のﾍﾞｸﾄﾙの和が体の軸に合う様に椅子に座り, 通常の 2 倍の 2 G の重力が懸る状態で装置を回転, 視界が約 17 度の角度で左にずれて見えるｺﾞｰｸﾞﾙを使用し, ﾀｯﾁﾊﾟﾈﾙ上の指の腹ほどの大きさの的を指さす実験を行った.

この結果, 被験者 4 人全員が 1 G より 50% 程度少ない回数で視覚のずれを修正し, 正確な位置を指さした.

平田教授によると, 過重力下で神経細胞間の情報伝達効率が向上, 具体的には体内の重力ｾﾝｻｰに当る耳石器が小脳により強い信号を送った結果と考えられると言う.

また, 金魚を使った実験も行われた.

1 G より 1.5 G の方が金魚の眼位の保持に必要な器官の変化が早く誘発され, 視覚環境により早く適応した.

ただ人間の場合, 2 G でも心肺などに負荷が懸る.

平田教授は以前, 明るい環境下でｻﾙの神経細胞がより活発に働くとする内容の論文を発表している.

金魚を用いた実験でも同様の結果が確認されており, 過重力下と同様の効果が明るい視覚環境で得られるとみている.

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