ジョージ・レナード 著 (中田 康憲 訳) 『達人のサイエンス』 (日本教文社)2011/03/09 03:42

何時ぞや紹介した 「がんばれ社長 ! 今日のポイント」 のブロガーである武沢信行さんが, 表題の本について, 次の様な読後感を寄せている.

"人生とはプラクティスであり, 終わりなき学びの旅である" こんな名コピーにつられて買い求めたのだが, 忘れられない一冊になった.

柔道の創始者・嘉納治五郎は死が近づいたのを察知し, 周囲にこう言った.

「自分が死んだら白帯をつけて埋葬してくれ」 周囲は驚いた. 世界最高の柔道家が最後の最後に白帯を締めるなんて, 何たる謙虚さ.

だが, 嘉納の真意はそこにはない. 死という最終的脱皮の瞬間を前にすると, 人はみな白帯なのだ.

それに真の達人 (この本では 「マスタリー」 と呼んでいる) は, 永遠の初心者であり, すすんでバカになって自分を明け渡す事ができる人の事である.

小難しい顔をして自分のフィルターを手放さない人は成長が止まる. 嘉納が白帯を所望したのは, 初心者である事の決意表明なのだろう.

経営もビジネスも人生も, 何かの分野の達人になるのを目指して学び続ける旅である.

せっかちになってはいけない, 結果主義や成果主義に陥って成長する事を疎かにしてはならない.

思い通りにならないからといって手っ取り早い方法に乗り換えてはならない.

よい教師を選び, 一流の指導を受けよう. 良い教師は初心者を辛抱強く指導する事ができる.

後は, あなたが自己を明け渡し, バカになって学習するだけだ."

更に, 読後印象として, 次の 2 点を挙げている.

1. 失敗から学ぶ, 成功からも学ぶ

学ぶとは, そこから何らかのエネルギーを吸収できること.

時には人生に一撃を食らわされたような大失敗からも人はエネルギーを得る事ができる.

「人生のあらゆる局面に達人の境地への道がある」 と説く.

詰り, 人生の意味はクライマックスの瞬間にあるのではなく, 終りなきプラクティスの中にある.

人は学びと訓練のエネルギーを使う事によってそこから別のエネルギーを得る事ができる.

だから, 達人とは 「永遠の初心者」 の事である.

2. 一直線には上達しない

長い 「プラトー」 (上達しているようには思えない段階) のあと, 短期間に一気に上達する 「スパート」 がやってきて, また長い 「プラトー」 が続く.

「プラトー」 でも練習を続けなくてはならない. それがマスタリーの旅の厳粛な事実なのだ.

達人を目指すあなたなら, 何はともあれご一読あれ!"

昨日, 世阿弥の 「初心忘るべからず」 と言う言葉について触れた.

たまたま, タイミング良く, 武沢さんが, 表題の本の読書案内で, 何かの分野の "達人" を目指す人のための 「ナック (= コツ)」 と言ったものを紹介しており, 目出度く, その道の達人となっても, 尚, 「人生の最後に, "白帯 = 初心" に戻る」 事の意味について意見を述べておられた.

特に解説は要らないだろう. There is no royal road to learning. (学問に王道なし) と言う格言があるが, 全く竹沢さんの意見に同感である.

成程, 「達人のエッセンス」 はなかなか面白そうな本であるように思う.

Have a nice day!
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