iPS 細胞と Aldous Huxley の 「Brave New World」2010/09/30 03:57

昨日の日経夕刊によると, 京都市は, 新型万能細胞 (iPS 細胞) を作成した京都大学の山中 伸弥教授に 「市民栄誉賞」 を授与すると言う.

処で, 9/17 の NHK スペシャルで, 「"生命" の未来を変えた男 - 山中 伸弥 iPS 細胞革命」 と題し, ジャーナリストの立花 隆氏と, 国谷 裕子キャスターとの二人による, 山中 伸弥教授に対するロングインタビュー番組が放映された.

この番組では, 山中教授らが, 世界に魁て作成した 「万能細胞 - iPS 細胞」 の無限の可能性について, 色々な切り口から紹介をしていて, 極めて興味ある内容であった.

認知症や癌などを初め, アルツハイマー病や ALS (筋萎縮性側索硬化症) など, 現在の医療技術では 「難病」 とされている疾患に対し, iPS 細胞は 「医療革命」 を齎すとされている.

臓器や組織を再生する 「再生医療」 への広範な応用, 遺伝子の働きや寿命と言った生命の謎の解明への期待が高まっている.

山中教授は, 当面, iPS 細胞は, 大きく, 1) 再生医療, と 2) 病態解明・創藥と言う 2 つの分野での臨床を早急に進展させたいと考えている様である.

立花 隆氏によれば, iPS 細胞は, "初期化" 出来る, 詰り, 「時間の巻き戻し」 が出来る 「タイムマシーン」 である点にその素晴しさがある, と指摘している.

即ち, 人間の細胞は, 受精したばかりの 1 個の細胞が 60 兆個の細胞にまで分裂を繰り返して行く訳であるが, その細胞分裂の過程は通常では決して逆戻りしないのである.

然し, iPS 細胞はそれが可能であるため, 色々な臓器や組織を再生する事が出来るのである.

それ故, iPS 細胞は万能細胞と称される.

また, 一方では, 「iPS 細胞」 の技術を使うと, 所謂, デザイナーズ ベビーを初めとし, 同性同士のカップルの遺伝子を持つ子どもの誕生や, 人間と動物を掛け合わせた 「キメラ」 の誕生も可能になるなど, これまで人類が経験していない Negative とも言える社会の到来も見えてくると言う.

国谷キャスターの言葉を借りると 「iPS 細胞は, "パンドラの箱" を開けてしまった」 事をも意味するのだと言う.

然し, 山中教授は, 飽くまで, 難病の希少疾患に苦しむ患者さんを救うために, 一刻も早く臨床に結び付けたい, また, 自分たちはそれを結実させる義務を負ってしまったのだ, と言っている.

以前, 本欄でも紹介したが, 山中教授の iPS 細胞に対する倫理観・研究姿勢は, あくまでも真摯で, フェアであり, かつ, 前向きである.

また, 人間としての卑しさが微塵も感じられず, 研究者としての謙虚な姿勢もひししと伝わって来ていた.

これが見ていて実に爽やかで清々しかったのである. (続く)
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はり・きゅう・マッサージ トミイ
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