失われた 「もてなしの心」2012/05/23 02:58

過日, 神奈川大学の内田 青蔵教授が下記の様な主旨のエッセイを日経に寄せていた (「なるほど住まい術」).

戦前期のわが国の住まいには, 南側の日当りの良い場所に客間 (座敷) があり, 玄関脇には応接室もあった.

住まいの重要な役割として 「接客」 が位置付けられていたからである.

そうした考え方が変化するのは, 明治末ごろからである.

欧米の影響から新しい住まいの役割の議論が起こり, 「接客の場」 よりも 「家族生活の場」 を大切にする考え方が主張され始めた.

その結果, 住まいは居間中心に変化し始めた.

戦後の住宅不足や資材不足のなかで行われた住宅づくりでは, 最低の生活ができる最小限の住まいが模索され, 当然のように 「接客の場」 は住まいから除かれていった.

それまで, 人々は接客という行為を通して常日ごろから生活規範を基に自らを律し, 多少の無理をしつつも応接室や客間を維持してきた.

然し, 現代の住まいからはそうした緊張感が失われてしまったように思う.

接客だけの場をなくしたことにより, 住まいは 「家族にとって居心地の良い場」 となった.

住まいから社会性がなくなり, そこで暮す家族だけが居心地の良い場に変りつつある.

客を迎えるには玄関を綺麗に整えたり, 打ち水をしたりといった掃除や片付けも必要だが、そもそも, 客をもてなすという心構えが求められる.

客間や応接室がなくなった今, 外食だけに頼らずに, 時には, 住まいに客を招いて, 楽しい時間を共有するもてなしの心の重要性を再認識したい.

これからの住まいを豊かで社会に開かれたものにするためも, このもてなしの心をどう継承すべきか, が大切だと主張しておられる.

以前, ケニア出身の環境保護活動家で, 2004 年にノーベル平和賞を受賞した, 故ワンガリ・マータイさんが, 近頃の日本では, 殆ど死語になっていた 「勿体無い!」 と言う考えを世界に広めた話を紹介した.

住まいの構造に限らないが, 「もてなしの心 (Hospitality)」 は相手を 「思い遣る心」 でもある.

日本には他の国には例をみない多くの 「美徳の精神」 が脈々と受け継がれて来ている.

たとえ, モノの容 (カタチ) は変ろうとも, その心は失いたくないものである.

Have a nice day!
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