健康小話

この程, 食物ｱﾚﾙｷﾞｰに関する興味ある疫学研究報告が英国で為されている.

ﾛﾝﾄﾞﾝ大ｷﾝｸﾞｽﾞ･ｶﾚｯｼﾞのﾁｰﾑは, 2006 - 14 年に英国で 11 カ月未満の約 640 人を, ﾋﾟｰﾅﾂﾊﾞﾀｰを含む食品を週に 3 回以上食べるｸﾞﾙｰﾌﾟと, 食べるのを避けるｸﾞﾙｰﾌﾟとに分けて追跡調査を実施した.

5 歳時点で発症した割合は, 食べるｸﾞﾙｰﾌﾟが 2 - 11% なのに比べ, 食べないｸﾞﾙｰﾌﾟが 14 - 35% と高く, 統計的な発症ﾘｽｸは, 食べるｸﾞﾙｰﾌﾟが 70 - 86% 低いという結果になったと言う.

研究対象としたのは, 開始時点でﾋﾟｰﾅﾂｱﾚﾙｷﾞｰはないが, ｱﾄﾋﾟｰ性皮膚炎や卵ｱﾚﾙｷﾞｰがあり, 発症するﾘｽｸの高い子供たち.

ﾁｰﾑは 「ｱﾚﾙｷﾞｰを恐れてﾋﾟｰﾅﾂの摂取を避ける事には疑問がある」 と指摘している由.

卵など他の食品でも早く食べ始める事で発症を抑える効果があるか如何かは今後の研究課題だが, ｱﾚﾙｷﾞｰ予防の新たな指針作りに繋がる可能性がありそうだ.

欧米では, 最近 10 年で子供のﾋﾟｰﾅﾂｱﾚﾙｷﾞｰの比率が倍増しており, 英国や米国では一時, 幼児や妊婦にｱﾚﾙｷﾞｰの原因食品の摂取を避けるよう勧める指針が出たが, 効果が不明なため取り下げられた経緯があると言う.

ｱﾚﾙｷﾞｰを初めとする自己免疫疾患については, 未だにその発症のﾒｶﾆｽﾞﾑがよく解明されていない.

今回の報告は, 原因解明のほんの入り口に立ったに過ぎないものの, 所謂, 減感作療法にも通ずる様で, 今後の研究の進展を期待したい.

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